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「筋肉を意識しながら筋トレすべきか」は種目・重量による件【効果+使い分けを解説】

こんにちは!ゴリラです。

「やっぱ常に筋肉に効かせるように意識した方が良いの?」

今回は、こんな疑問に答えます。

この記事の内容
  1. 「筋肉を意識しながら筋トレすべきか」は種目・重量による
  2. 筋肉を意識する・しないの使い分け例

この記事を書いている僕は、筋トレ歴7年ほどのパーソナルトレーナー。

日本ではあまり知られていない海外の研究データなどにも目を通しながら、日々トレーニングを勉強しています。

こういった背景の僕が、「筋肉を意識しながらの筋トレ」について解説していきます。

メモ:「筋肉を意識しながら筋トレする」って何?

狙っている部位に対して刺激を与えられるよう、集中しながらトレーニングすることです。

例えば、胸の筋トレでは「大胸筋に効かせるよう、収縮や伸展を感じながら行う」みたいなイメージです。

「マッスルマインドコネクション」とも呼ばれます。

「筋肉を意識しながら筋トレすべきか」は種目・重量による

筋トレ界では「全てのトレーニングを筋肉に効かせるように意識しながら行う」というのが正解みたいになっています。

ただ実際は、筋肉を意識しながら行うのは「アイソレーション種目や低重量の種目のみ」でOKです。

アイソレーション種目

⇒単関節種目のこと。膝の関節だけが動くレッグエクステンション・肘の関節だけが動くバーベルカールなど、1つの関節のみを動かして行う種目。

前提:筋肉を意識しながらの筋トレは筋肥大に効果的

そもそも筋肉を意識しながら筋トレする意味ってあるの?ということですが、めちゃくちゃ意味あります。

筋肉を意識しながら筋トレするだけでも、意識した筋肉は活性化し、筋肥大に効果的です。

Mr.ゴリラ
Mr.ゴリラ
できる限り筋肉を意識して筋トレを行った方が良いよ!

研究:筋肉を意識するだけで筋肥大に2倍近くの差がついた

研究<1>では、筋肉を意識するグループと、上げることに集中する2グループに対し、8週間アームカールを行ったときの筋肥大を調査しました。

その結果が以下です。

グラフを見てわかる通り、筋肉を意識するだけで筋肥大に2倍ほどの差がついています。

加えて、別の研究<2~3>では以下のこともわかっています。

  • 筋肉を意識しながら筋トレを行うことで、意識した筋肉が活性化される
  • 活性化した筋肉は筋肥大効果が高まる

多くの研究が「筋肉を意識しながら筋トレすると筋肥大効果が高まる」ということを示しており、筋肉をできる限り意識した方が良い事がわかります。

Mr.ゴリラ
Mr.ゴリラ
意識するだけでこれだけの差が出るのなら、意識した方が良いのは間違いないよね!

高重量のコンパウンド種目では筋肉への意識は不要

では、全ての筋トレに対して筋肉を意識すべきか?といえば、そうではありません。

ベンチプレスやスクワットなどを高重量で行う場合など、高重量のコンパウンド種目では筋肉への意識はぶっちゃけ不要です。

コンパウンド種目

⇒多関節種目のこと。ベンチプレスやスクワットなど、動作するだけで複数の関節が動く種目。

研究:筋肉を意識するという効果は高重量の筋トレでは確認できていない

研究<1>でもそうですが、筋肉を意識することで筋肥大効果が見られるのは低重量のアイソレーション種目のみです。

というのも、高重量のコンパウンド種目のようなトレーニングでは、筋肉を意識すること自体がそもそも難しいです。

実際、5回で限界を迎えるスクワットとかで「脚に効かせることを意識しろ」と言われても、正直きついですよね。

それであれば、「正しいフォームで高重量を上げる事に集中した方が良い」と多くの専門家は語っています。

Mr.ゴリラ
Mr.ゴリラ
デッドリフトやベンチプレスとかも同じ!ハードなメニューは意識自体が難しい

結論:筋肉を意識しながら筋トレするのはアイソレーション種目や低重量の種目のみでOK

  • 低重量のアイソレーション種目
    ⇒筋肉を意識する
  • 高重量のコンパウンド種目
    ⇒上げることに集中する
  • 中重量などその中間
    ⇒意識もその中間で、軽く筋肉を意識する

こんな感じで筋トレするのが良いです。

全ての筋トレ種目に対して「筋肉を意識する」は行う必要はなく、種目や重量によって使い分けるのがポイントです。

たまに、高重量のスクワットをやった後に、「筋肉を意識するのが下手なのかも」と相談されることがありますが、心配する必要はありません。

高重量のコンパウンド種目をやれば、大半の人は筋肉を意識するのが難しいと感じますし、そもそも意識する必要もそんなにないかなと思います。

高重量・低重量の基準は?

研究<1>を見ると、「筋肉を意識する」で結果を出したときのレップ数は「8~12」のようです。

よって、「8レップ以上できるかどうか」を基準に「筋肉を意識するかどうか」を決めればOKだと思います。

ただ、レッグエクステンションの8レップであれば筋肉への意識は楽ですが、スクワットの8レップだと辛いと感じる人が多いと思います。

つまり、種目によっても変わってくるため、8レップという数字にこだわらず、臨機応変に対応していく必要があります。

筋肉を意識する・しないの使い分け例

どんな感じで「筋肉を意識する」「筋肉を意識しない」を使い分けるのかという、例をご紹介します。

まず、胸のメニューが以下のような感じだったとして、話をしていきます。

  1. ベンチプレス 6回×3セット
  2. インクラインダンベルプレス 9回×3セット
  3. ダンベルフライ 12回×3セット

ベンチプレス:筋肉は意識せず上げることだけに集中

理由は以下の3つです。

  • 6回で限界を迎えるという、比較的重めの重量設定
  • コンパウンド種目
  • 比較的高重量を扱える負荷の大きい種目

最初のベンチプレスでは「とにかく丁寧なフォームで重量を上げる」という事を意識すればOKです。

筋肉を意識するあまり、全然回数がこなせなかったり、フォームが崩れるのは避けたいので、筋肉への意識はあまり考えなくて良いでしょう。

というか、ベンチプレスをこの重量設定で行った場合、筋肉を意識すること自体が、慣れていないと結構難しいと思います。

インクラインダンベルプレス:軽く筋肉を意識する

理由は以下の3つです。

  • 9回で限界を迎えるという、重すぎず軽すぎずの重量設定
  • コンパウンド種目
  • 比較的高重量を扱える負荷の大きい種目

9回という重量設定ではあるものの、コンパウンド種目でありつつ、種目自体が結構ハードです。

よって、筋肉への意識に集中するというよりは、「軽く筋肉を意識しつつ、上げる事にも集中する」という中間的な感じで行うのが良いです。

中間的な感じで行うというと結構難しいかもしれませんが、あくまで目安なので、ざっくりでOKです。

Mr.ゴリラ
Mr.ゴリラ
頭の片隅に「筋肉を意識しなきゃ」というのを置きながら行うイメージでOK!

ダンベルフライ:筋肉を強く意識する

理由は以下の2つです。

  • 12回で限界を迎えるという、比較的軽めの重量設定
  • アイソレーション種目

この重量設定&種目だと、そこまで意識しなくてもフォームを崩さずにできると思います(もちろん、慣れればの話です)。

よって、「筋肉に効かせるよう意識する」というのに集中しつつ、トレーニングを行うのがオススメです。

ダンベルフライでいえばターゲットは胸なので、とにかく胸に刺激を与えるよう意識しましょう。

補足:最適なセット数とレップ数には目安がある

鋭い人は「なぜ3種目を、このセット数・レップ数で設定したのか?」と疑問に思ったかもしれません。

これはシンプルに「最適なセット数とレップ数には目安がある」というのが理由です。

例えばよくやりがちな「1部位に対して週1回25セット行う」みたいなのは、科学的には微妙なので、あまりオススメしません。

科学的根拠とともに、詳しくは以下の記事で解説しているので、参考にしてみてください。

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まとめ:筋トレにおける筋肉への意識は使い分けが重要

この記事のポイントをまとめます。

  • 筋肉に効かせるよう意識しながら行うと、筋肥大効果が高まる
  • ただし、ハードな重量設定・種目の場合は上げる事に専念する方が良い
  • 筋肉を意識するという効果が認められているのは、8回以上できる重量のとき

こんな感じです。

「筋肉に効かせるよう意識しろ」と多くの人は言いますが、全てのメニューに対して実行する必要はありません。

例えば高重量のスクワットなどでは、筋肉に効かせるように意識すること自体が難しいので、こういった種目は上げる事に専念しましょう。

というわけで今回は以上です。この記事が少しでも参考になれば幸いです。

参考文献
<1>Differential effects of attentional focus strategies during long-term resistance training.
<2>From mental power to muscle power–gaining strength by using the mind.<3>Importance of mind-muscle connection during progressive resistance training.

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